A.継続性の原理と言って、現に監護しているものを監護者と認めるべきであるという考え方があります。そうあってはならぬと一応否定されているものの、実際にはその方が煩わしい手間をかけずに済むという意識からなのか、現に監護しているものが監護者として認められるケースが大部分です。「連れ去りは違法だし、理由もないが、今育てている親が将来も育てたらこれ以上仕事も増えないしいいんじゃない」という程度のものです。

連れ去り・引き離しの時点で主に監護していた方が認められるべきという、主たる養育者要件という考え方もあります。父が子どものために朝から晩まで仕事をしていて、母が十分な監護をしていないとしても、主たる養育者要件では圧倒的に母が有利です。

母性優先の原理という考え方も存在します。以前は「母親」優先の原理だったのですが、フェミニストのみなさんもさすがにそれは男女平等に反してまずいと思ったのか、母親から母性になりました。母性とは母の愛情ではなく、いわゆる優しさ(対して父性は厳しさ)のことですから、あなたが男性であれ女性であれ優しく慈しみの心を持ってお子さんに接していたのであれば積極的に主張すべきです。

DVや虐待が認められる場合は、ほぼ監護者にはなれません。しかしながら、継続性の原理からなのか、仮に非監護者が過去にDVを行ったとすれば「将来的にもDV再発の危険がある」と言われることが多く、逆に現監護者が過去に虐待を行っていたとしても「今は安定しているから将来的にも大丈夫」と言われるケースも見られます。調査官や裁判官がこのようなダブルスタンダードを用いることは子の福祉を第一に考えているとは言い難く、児童の権利条約違反と言わざるを得ません。

経済的状況もポイントになりますが、法律上は生活保護でも人間らしい最低限度の生活を営めることになっていますから多くのケースでは決定因にはなりにくいようです。ただし、他の条件が同じなら、「子の最大の利益」を実現するためには経済的に裕福な方がよいとアピールするべきです。

監護補助者については、本来行政によるサービスがあるはずなので問題視すべきではないのですが、実際には健康で協力的な祖父母が近くにいることが有利に働くようです。