A.連絡の取れる弁護士の先生がいらっしゃる場合は、一刻も早く相談してください。

一時の感情にまかせて行動を起こされる場合は、その行動が相手方と関係性をさらに悪化させる可能性があり、態度を硬くさせる可能性があることは認識しておかなくてはなりません。

子どもが連れ去られたことが確実な場合、新たな居住地に移住する前であれば日常的な移動の最中と考えることができます。移動中にお子さんを見つけて、「一緒に帰ろう」といって子どもが同意するのであれば連れ去りを未然に防止することが可能です。この場合相手方から実力で子どもを取り返すのではなく、子どもの自由意思を尊重する監護権の行使であることを明確にしておく必要があり、相手方が子どもの同意なく連れ去ろうとしているのであれば虐待からの緊急避難であると考えられ、あなたの同意なく連れ去ろうとしているのであればあなたの監護権の侵害であると主張しておくべきです。一旦連れ去られて他の居住地に転居されてしまい、あなたが現に監護をしている状態でなくなると、その後の監護者指定で不利になってしまいます。

違法不当な子の連れ去りは、刑法第224条の未成年者略取・誘拐罪と考えられます。実際は、自宅からの初めの連れ去りは罪に問われたり警察が動くことはなく、連れ去りの連れ戻しには未成年者略取・誘拐罪が適用されることが多いようです。しかしながら、相手方が勝手に一人で出ていくだけでなく、子を連れて別居するのであれば、警察に未成年者略取誘拐罪で訴えることはその後のことを考えると有効かもしれません。なるべく弁護士の先生に相談し、同席してもらい、そこでのやりとりは必ず録音あるいは録画してください。

警察が動かない場合は、連れ去りが虐待にあたるとの解釈より児童相談所に通告するという手があります。相手方の連れ去りが違法不当なものであると考えるだけの証拠があれば、少なくても「虐待の疑い」はあるわけですから、安全確認等を行ってくれるはずです。

相手方が先に弁護士に相談している場合は、こういったこちら側の動きに対する予防措置としてDV保護法を最大限利用するよう助言しているはずです。自治体に聞いても相手方の転居先を教えてくれない、といった場合には相手方が警察等にDV相談をしていた可能性が高いと思われます。そうなると実力による奪還は現実的にはあきらめた方がよくなります。もしお子さんを実力で連れ戻そうとすると逮捕される危険性があります。

弁護士の先生には、審判前の保全処分、子の引き渡し請求、監護者指定等についてご相談ください。